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02:求められる教育


 (1) 捉え方の変化
  1 「学力」をどのように捉えるのか、議論が必要である。
  2 「学力」の質は何か、議論が必要である。
  3 受験のための塾学習から、抜け出す議論が必要である。
 (2) 個性の尊重と他人との協調
  1 国境を意識しない(ボーダーレス)時代では、他人との協調が欠かせなくなる。
  2 そんな中で個人の主張は、個性の尊重につながる。
  3 尊重の上に発展が、協調の上に平和がある。
 (3) IT時代に合った生活
  1 パソコン操作技術及びインターネット利用技術の習得は、21世紀社会において不可欠となる。
  2 情報を待つ時代から、必要な情報を自分から探しに行く時代へと変わる。
  3 学習や仕事や趣味など全ての分野で、機会を見失わないことが大切になる。

 (4) 21世紀学校教育について(私案)
 2002年度から小中学校で実施される新学習指導要領での教育に関する基本的な考え方は、 従来までの教師による生徒指導型教育から、生徒自らが進んで参加する自発学習支援型教育に 変化すべきことを示していると受け留めています。
 最も注目されている現在の課題は、「実社会の規則と教育とのズレ」(この場合の教育とは、 学校以外の家庭や地域や企業における全てのものを含んでいます)にあると指摘されています。
 新しく設定された『総合的な学習の時間』(以降『総合学習』)の中でも述べられているように、 21世紀は「ゆとり」と「生きる力」を考える教育を目指しています。
 私は大手企業に勤めるサラリーマン生活35年間の職務経験(プログラマー・企画部業務 改善担当)や労働組合役員経験をもとに、いま大変革を始めようとする教育現場に対して、 『総合学習』を進めるに当たってとり入れて欲しい次の6点を提案し、21世紀教育基盤の確立 に一石を投じたい考えています。子供社会の視点に立ち採用されることを心から願っています。
 

1.相手の顔をみる環境の確立〔黒板に向けた一方向の机配置の廃止〕

 教室で前席の後ろ姿を一日中見つめる教育環境では、クラス全員との会話も生まれません。意見を発表する 友だ

 ちの表情が見える、円形や体面配列などの工夫が必要だと考えます。

 

2.情報の溢れた社会に対応する処理と分析力の養成〔速読技術の習得〕

 現在の若者たちは「読書離れ」だと言われていますが、社会人となって働く場合には、色々な資料や規定や 技術

 書を読まなくてはなりません。本を読む速度が遅い人は当然ながら知り得る情報も少なくなります。もし現在より

 2倍、3倍の速さで本を読むことが出来れば、知り得る情報も加速します。情報過多の社会に生きる者は、不必要

 な 資料を即座に判別する能力が必要で、何よりも速読能力の養成は欠かせません。

 

3.いろいろな角度から考える力の養成〔プログラミング思考の習得〕

 機械内部では、「1」か「0」で表現されるプログラムが動いているコンピューターは、どんな異常時が発生 し

 ても正常に動き続けるために、多くの例外条件を解決する仕組みの回路が準備されています。小さな例外を重要視

 する考え方は、反対意見を尊重することにもつながります。少数意見を切り捨てることのない幅広い思考力と感性

 の 養成が必要です。

 

4.常により良いものを目指す姿勢の養成〔QC(品質管理)手法の学習〕

 人類の発展は常に改善に裏打ちされた向上心があったからだと考えています。子供にとっても大人にとっても 最

 大の行事である「遊び」の中では、終わることのない改善と努力が常に根気よく続けられています。このことを仕

 事上 で理論付けたものがQCだと言えるでしょう。「自分ならどうするか」という思考を日頃から身につけてい

 ることは、 責任のある個性的な人間形成に何よりも大切です。「工夫をする」ためには、どのようにすれば良い

 のか、その考え方を 学ぶことが必要です。

 

5.自分の意見を人前で発表する経験〔個人の主張表現〕

 自分の意見に自信を持ていない人は、その意見が正しいものであっても、いつも他人の意見に負かされてしまい

 ます。皆が平等だという民主主義で忘れてはならないことは、少数意見をどのように多数意見の中に反映させるか

 という ことなのです。根拠をあげて自分自身の意見を述べる勇気ある態度の養成が必要です。

 

6.日本人としての個性の主張〔伝統文化継承の体験〕

 核家族化が進み地域の組織(町内会や自治会)や親睦会に加わらない人々が増えている現在、地域の伝統文化は

 ますます継承されにくい社会に成りました。日本の伝統文化に触れる機会を子供の頃に与えることは、協力や責任

 分担を 養う上でも大変重要だと考えます。


 (5) 『総合的な学習の時間』の位置付け
 1-1 これからの教育指針
   新学習指導要領での位置づけは、総則編の第1章総説で詳しく述べられています。
   また、『総合的な学習の時間』(以降『総合学習』)については、中学校学習指導要領の場合

   には第3章第4節で記述されています。
 私なりに要約すると次のようになります。
  時代を超えて変わらない価値あるものを身に付ける。
  社会の変化に柔軟に対応し得る人間を育成する。
  完全学校週5日制の下での教育のあり方を考える。
  教育内容の厳選と基礎や基本の徹底をはかる。
  学習の指導と評価のあり方を考え直す。
 1-2 『総合学習』の中の国際性
  上の「基準」改善のねらいを受けて、『総合学習』の取組みでは、例えば国際性について次のよ

  うに述べられています。

  •  国際化の進展に伴い、国際社会の中で日本人としての自覚を持ち、主体的に生きていく上で必要な資質や能力

  •  を育成する。

  •  各学校が創意工夫を生かし、特色のある教育、特色ある学校づくりを進める。
     日課表や時間割を各学校で編成することができ、『総合的な学習の時間』を創設し、選択の幅を拡大する。

  •  家庭や地域社会の人材、施設や様々な活動との連携を図った教育を行うことは極めて意義がある。

 1-3 国際化への対応
   さらに「国際化への対応」として次のことが述べられています。

  •  広い視野をもって異文化を理解し、異なる文化や習慣をもった人々と偏見をもたずに自然に交流し、共に生き
     ていくための資質や能力の育成を図る。

  •  国際化の進展に対応した教育は社会科、地理歴史科、外国語科を中心に行われてきたが、『総合学習』におい
     ても同様な視点に立ち教育の充実を図る。

  •  これまでとかく欧米先進国に目を向けがちであったことを改めアジア諸国等に一層目を向けるよう留意する。

  •  外国語教育は、自分の考えや意思を適切に表現できる基礎的あるいは実戦的コミュニケーション能力の育成
     を一層重視し、中学校及び高等学校では外国語を必須とする改善が必要で、中学校では広く使用されている
     英語履修を原則とする。

  •  小学校での外国語の扱いは、各学校の実態に応じ『総合学習』や特別活動などの時間でとりくみ小学生に相応     しい体験的な学習活動が必要である。


 (6) 新教育の受けとめ方

 1-1 児童生徒以外も学習が必要
 教師だけでなく、親も、大人全てが『総合的な学習の時間』が設けられた意味を学習し、理解しなければならない。
「学びのすすめ」は、学習する内容の最低ラインとして、位置付けられている。
「完全学校週5日制」を導入したが、教育現場での受け入れ態勢が不充分であり、
 子ども達の遊ぶ場所を、地域の大人たちは早急に確保しなければならない。(行政の事前対策遅れはなかったか)
       →→→ 学校に行かない一日、子ども達の居る場所がなくなっている
 授業時間も内容も減ったのに、試験内容が減らないのはおかしくないか。
       →→→ 大学試験方法は、すでに変化を始めている。
 どのような場合でも、システムが大きく変わる時は、多少の混乱はある。
 どう捉えるかで、問題意識も、結果判定も違ってくる。

       →→→ クリエイテイブになり得るかが、最も重要である。
 勉強する姿勢を変えなければならない。

 確かな解決策は、「親と子の自己責任」にあるといえる。

  1-2 完全学校週5日制導入の現況
 土曜日が休みになったので、塾へ行くのが増えている。
 塾学習が過熱してきたのは、新教育の当初のねらいに反している。
 教師の土曜日分の仕事が、月~金に入り込んできた。
 それでも、教師の土曜出勤者が増えている。

 土曜日が休みになり、宿題が増えた。

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